
- 2025年1月18日土曜日
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FACTORY KAFE工船
ハートブレイカーズブレンド2025
今年もハートブレイカーズブレンドの季節がやってきた。
今年もまた、ハッピーバレンタインだった人も、アンハッピーバレンタインだった人も居ることであろう。でもさ、あんまり気にしなくていいよ。どうせいつかはみんな死んでしまうのだから。アンハッピーもハッピーもカードの表と裏である。弊社の20代のスタッフのロマンス事情を何か遠い気持ちで眺めている私です。どーせ、すべてはまぼろしなのだ。まぼろしはまぼろしでも生きている以上「とにかく自分を使い切ること」である。それができたらもう何も思い残すことは無い。だからってハートブレイカーズには大して関係ない。いや、関係ある気もする。突然だが、この世界には無限のものなんてないのではないだろうか?恋人たちは「ずっと一緒に居ようね」と約束しあうものだが、その約束は果たされることは無い。いや一生添い遂げたとしても、そのずっと一緒に居ようって、無限ってことですか?地球だって有限なのにですよ。いや、私にはこのずっと一緒に居ようのずっとがどういうことなのか全くもって解らないのだ。が、しかしである。これはずっと一緒に居ようと言う厨への批判ではない。これこそ、人間が人間である所以だと思う。
あくまでも人間の頭の中にしか、無限は無い。そう思うと、急にこの色々アレな人間社会というものが愛おしく感じるのだ。今食べているオニギリも、無限に米があるような気がするが、数えることができる。数えないけどさ。でも米、一粒ずつを「1」として数えていいんでしょうか?全部違うのに。
さて、いつもながら大したコンセプトは無いのだけれど、どんな感じのコーヒーにするかは(めずらしく)決まっている。最近セトが凝っているのは、日本酒と無限論なんだけど、どっちもあんまり今回のブレンドには関係ないと言うか、それを発揮する学力もスキルもない。しかも無限論については、2025年1月か2月発売のあまから手帖にて、弊社社長がサクッと上手く言っているので是非、そちらを参照いただきたい。
近所の京大生でもむずかしいと言っているにも拘らず、ほんとサクッと言っている。
日本酒については、ホントもう味の世界では一番洗練されてるんじゃないかって思っているので、私があえてコーヒーで何かをする必要性を感じない。あのなんて言ったらいいかわからない美味しさって何でしょうね?負けた!
ワインと同じ醸造酒だけど、ワインよりももっと言葉では形容できない。これが並行複発酵のなせる業なのか!
いつも、ブレンドは弊社の「エスプレッソからドリップまでブレンド」が最高!と思っている私ですが、正直、このブレンドを超えるブレンドは難しいだろうと思っている。毎年このブレンドは豆の種類は変わっているものの、味の持つ思想はそのままなので、もうこのブレンドはもう後にも先にも完璧なんじゃないだろうか。
そんなわけで、毎年、似たり寄ったりなブレンドに何かを足したり、JBを聞いたりと悪戦苦闘しているのだけれど、なぜか今年は派手なコーヒーを作りたくなった。
なぜかは全くわからないけど、なんか盛大なものが作りたい。あと、どんな凡夫も時間というものを味方にすれば、多少まともなものが作れるということも証明してみたい。要するに急に技術を見せびらかしたくなったのである。セトもすっかり中年。年を取ると派手好みになるといいますからね。
パッケージはいつも通りです。
どうでもいいついでに言うと、昨今、おじさんのマウントが忌み嫌われていますが、セトも40を過ぎて、マウントを取る喜びを知りました。マウント最高!若者たちは忌み嫌わずに遠くの親孝行(見ず知らずの年長者に優しくするのも”考”だと孔子は言っています)だと思って、あたたかい目で見てほしい。
それは、2024年の12月西田のクリスマスいやウインターブレンドを、焙煎していた時の事である。どうせ代打で焼くなら当の本人よりもうまく焼きたい。実際どうだったかは別として、そんな他人の土俵で取る負けず嫌いが幸いした。
今回のウィンターブレンドは、グアテマラの深ヤキにパプワニューギニアとインドのプレミックスを中深ヤキにしたものを混合したのだが、このパプワとインドのプレミックスの焙煎方法が秀逸なのだ。
市井の殆どの人が興味の無い話題で申し訳ないのだけど、ざっくり言えば、焙煎の前半の火力を最大限にし、ゴールドのところから(ゴールドの話は説明しません)火力を下げて焙煎している。尚且つマシンダンパーを開け気味で、前半を極力早く持っていく。こうすると、豆の個性がダイレクトに出すことができる上に、アフターは軽やか。サードウェーブメソッドである。やっぱ伊達にエビデンス命じゃないね。素晴らしい。これで強烈な豆を焼いてブレンドに使ったら、嫌みなく相当効かせられると思ったのです。要するに、コンセプトも何にもなく、やってみたいの一言に尽きる。私にもできると大声で言いたい。豆の配合は3種類。
インドネシアとエチオピアは使います。
今回もまたその組み合わせ、、、と侮るなかれ。
今回はエチオピアはエチオピアでもなんとエチオピアwashedである。
昨今、マセラシオンカルボニックという精製法によって存在を忘れられつつあるのがwashedという精製法である。いや、いっぱいあるんですけどねwashedのコーヒーは。でも、washedって書いてあっても、なんとなくナチュラルよりなんだよね。ほんとグローバリゼーションってロクでもないよね。って思う。猫も杓子もマセレーション(コーヒーのチェリーを水で分解する際に、果肉などを一緒に漬けてナチュラルフレーバーを加味した精製法)である。なんかこんな話昨年もしたようだな気がするが、何がダイバーシティーだよと本気で思う。もっとしっかり洗ってほしいwashedって言ってるんだから。それはともかく、エチオピアwashedというのは浅めの焙煎度で焼くと百合みたいな香りがある。弊社のエチオピアwashedはガッツリ洗ってる味なので、クッキリと百合の香りがあります。これと白檀と称されるインドネシアと混ぜると、中々どぎつい香りになると勝手に妄想しています。
多分なら、ベースはブラジルがインド。浅めの焙煎度でも殆ど酸味の無いこの豆をベースに、遠い記憶の花鳥風月みたいなブレンドを作る!予定です。
もちろん合わせるなら、ジャンポールエヴァンのシングルオリジナルの板チョコが良いと思いますよ。あとにも先にもJPEが無双です。
オンラインの予約販売を開始しました。
https://ooyacoffee.stores.jp/items/678101bce7c5ab08e26a885d
追記:2025年1月18日サンプル焙煎
いやはや、やっぱり頭で考えることと現実というのは乖離していますね。最初、マンデリン、エチオピアを件のサードウェーブメソッドで焙煎したのだが、どうも芳しくない。ということでインドを少し挟んでみる。混ぜれば混ぜるだけ凡庸なコーヒーになる。なんとなくマンデリン入ってるコーヒーでしかない。これはブレンドの宿命なのか?というか、上記で何がダイバーシティだよとかエラソーに言った私が、凡庸なんじゃないか。こんな時は、キャプテンに頼るしかない。
キースリチャーズ大先生とお揃いのグッチのスカジャンを着てご機嫌なキャプテン。(春画、、、、。)
何にも相談せずに良いものを作りたかったけど仕方あるまい。さっそくブレンドを試飲してもらう。
キャプテンはいともあっさり「これじゃフツーにマンデリン焼いたほうが良いよね。どうせアレでしょ?エチオピアWの個性とインドネシアの風味を組み合わせたいんでしょ?それがやりたいなら、マンデリンをもっと殺さないとダメだよね。エチオピアとブラジルを混合したものをサードウェーブメソッドで焙煎し、インドネシアを長時間焙煎で徹底的にドライに仕上げるのが良いんじゃない?」
手前味噌なことこの上無いが、キャプテンはいつも的確で私の狙いなどは簡単に見抜いてるのだと20年以上の付き合いにもかかわらず、毎回驚かされる。
20年付き合っても圧倒的に他者。
頭で考えることと現実の距離感と言ったが、その距離を近づけているものって何なのだろう? 続く!