「ぼくのコーヒー地図」書評 佐藤 雄一(新潟 北書店 )

ぼくのコーヒー地図」から連想するふたつの話。

 

 

 

ここ数年、新潟と東京で二拠点生活をしている友達が、帰ってくる度にいろんなお店のコーヒー豆をお土産に買ってきてくれる。仕事の合間の地形散歩にはまっていて、歩く町の喫茶店探しに、「ぼくのコーヒー地図」がかなり役立っているらしい。いつもは彩図社のアウトロー系文庫や、スポーツノンフィクション(プロ野球界の闇的な)を好む彼の読書傾向からすると意外だったが、「これいい本ですよ」と、あるときもう1冊買い足してくれた。散歩仲間への“新潟土産”にするのだそう。筋が通っていて、いいなと思った。

 

 

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映画「男はつらいよ」シリーズ第8作『寅次郎恋歌』で、マドンナの貴子さん(池内淳子)が経営する〈コーヒーの店 ローク〉のえんじ色の看板が、8作以降も帝釈天参道からちらちらと目につくことが気になって調べると、ここはかつて実在したお店だった。シリーズ後半には看板も見えなくなるので、閉店されたことはわかっていても、数年前に東京出張の機会があって、バスで柴又まで足を延ばした時には〈ローク〉でコーヒーを飲むという妄想を抱きもした。もちろん〈ローク〉はなかったが、〈題経寺〉をお参りし、〈高木屋老舗〉の草だんごを食べながら江戸川を散歩するなど、柴又散策を満喫した。せっかくだから京成電鉄で柴又駅に降り立ちたいと、隣駅の金町まで歩いたら、駅前の古いビルの2階に〈田園〉という喫茶店を見つけて、まさしく“コーヒーブレイクは大切ですね”な時間を過ごした。いつかまた柴又に行きたいと思っているが、人ごみに疲れても、いざとなったら〈田園〉があるので大丈夫。この「葛飾柴又コーヒー地図」を、寅さん仲間(と、勝手に思っている)の岡本さんとも共有したい。